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Phantom Blade Zero への系譜 — Rainblood から Executioners まで

攻略Tips コミュニティ確認済

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注意: Phantom Blade Zero は2026年10月29日発売予定の未発売タイトルです(当初の2026年9月9日から延期)。本記事は公式発表・開発者インタビュー・メディア取材をもとにした発売前時点の内容で、シリーズ過去作の年表部分は複数ソースを突き合わせて確認しています。

結論: PBZは「新作」ではなく18年がかりの系譜の先端

Phantom Blade Zero を「S-GAME が突然仕掛けてきたAAA新作」と捉えると、実は半分しか合っていません。開発元S-GAMEの創業者Soulframe Liang(梁其偉)自身がPlayStation Blogで明言している通り、この作品は**2008年に彼が一人で作った同人RPG「Rainblood(雨血)」の「精神的な生まれ変わり(spiritual rebirth)」**です。エンジンはRPGツクールからUnreal Engine 5に変わっても、核となる部分は変わっていない、と本人が書いています。

まずは全体の年表を押さえておきます。

作品名発売年形式・エンジン位置づけ
Rainblood: Town of Death(雨血:死镇)2008年RPGツクール/ターン制RPGシリーズの原点
Rainblood 2: City of Flame2011年ターン制RPGS-GAME設立後の第2作
Rainblood Chronicles: Mirage2013年Unity3D/横スクロールアクションターン制からアクションへの転換点
Phantom Blade 1〜32017年〜モバイル(中国国内限定)「Rainblood」改め「Phantom Blade」ブランドの商業基盤
Phantom Blade: Executioners2023年11月2日PS5/PS4/PC/モバイル・基本無料シリーズ初のグローバル展開
Phantom Blade Zero2026年10月29日(予定)Unreal Engine 5/PS5・PCシリーズ最新作・初のAAAコンソール作品

同人インディー時代 — 「64日」から始まった物語

すべての起点は2008年、清華大学在学中だったLiangが一人で作り上げた「Rainblood: Town of Death」です。RPGツクール製のターン制RPGで、プレイ時間はおよそ4時間。仲間に裏切られた武術家が禁術で自らを癒すも、余命64日と知る——というあらすじで、レビューサイトRPGFanでは88点を獲得しています。中国国内で400万ダウンロードを超え、2010年に公開された英語版も含めて海外にもファンを広げました。

2011年、LiangはRainblood時代の協力者と合流してS-GAMEを正式に設立します(投資家Xu Xiaopingが率いるZhenFundから100万人民元を調達)。同年12月に「Rainblood 2: City of Flame」を発売し、2013年の「Rainblood Chronicles: Mirage」でUnity3D製の横スクロールアクションへと舵を切りました(3ヶ月で30万本超、英語版だけで13万本追加)。この時点までは、あくまで一人の作家性が濃いインディー作品群です。

モバイルで基盤を作った7年間

単独作の売上だけではスタジオは維持できません。NetEase創業者Ding Leiの後押しを受け、S-GAMEは2017年9月、ブランド名を「Rainblood」から「Phantom Blade」に改めてモバイル市場に本格参入します。「Phantom Blade 1」は月商4,000万人民元超という成功を収め、チームは20人から70人へ拡大。続く「Phantom Blade 2」「Phantom Blade 3」も大きな予算で作られましたが、「pay-to-win」批判を浴びる場面もありました。それでもこの7年間で、S-GAMEは2,000万人超のファンベースという、コンソール参入の土台を築いています。

Phantom Blade: Executioners — シリーズ初の「世界デビュー」

Phantom Blade Zeroの発表(2023年5月のPlayStation Showcase)から半年後の2023年11月2日、S-GAMEはもう一つの重要な作品をリリースしています。「Phantom Blade: Executioners」です。PS5・PS4・PC(Steam/Epic)・モバイルで展開された基本無料の横スクロールアクションRPGで、公式発表によればシリーズとして初めて中国国外にもグローバル配信された作品でした。禁術「Sha-Chi」による身体改造を巡る陰謀を、4人のキャラクターから選んで追う物語で、手描き風の2Dビジュアルが特徴です。

見落とされがちですが、これは単なる「モバイル最新作」ではありません。公式発表ではPhantom Blade Zeroと同じ世界観を共有する作品と位置づけられています。つまりS-GAMEにとってExecutionersは、コンソールAAA市場に本格進出する前に、海外ユーザーの反応を確かめる先行偵察でもあったわけです。「カンフーパンク」を生んだ会社で触れた「非売の姿勢」を貫きながらも、グローバル展開そのものは段階を踏んで進めてきたことがうかがえます。

Enter the Wulin: Gameplay & Story Deep Dive of Phantom Blade Zero(Phantom Blade Zero 公式チャンネル)

「Zero」は何を意味するのか

タイトルの「Zero」は、ナンバリング上どこかに割り込む「0作目」を意味しているわけではありません。経緯を追うとその実態が見えてきます。

S-GAMEは2016年11月22日、Rainbloodシリーズのアニバーサリーコンサートの場で「物語を拡張したリメイクを作る」と発表し、その際の中国語コードネームが「影之刃Zero(Yingzhiren Zero)」でした。2017年にはChinaJoyでコンセプトアートが公開され、同年中に2Dから3Dグラフィックへの転換とUnreal Engine 4採用が決まります。ただし2018年には開発環境の悪化でプロジェクトが一時停止。2021年にTencentが25%出資したことで状況が好転し、Unreal Engine 5への移行と本格開発(2022年から)につながりました。同時期に予定されていたSF新作「Stellar Saga」は棚上げされ、S-GAMEはPhantom Blade Zeroに全リソースを集中させています。

2023年5月のPlayStation Showcaseでの発表時、中国語タイトルは「影之刃零」に変わっていました。「零」はまさに「Zero」です。Liang自身の言葉を借りれば、この作品は「Rainbloodの精神的な生まれ変わり」であり、ナンバリング上の前日譚・続編ではなく、**シリーズの原点に立ち返るという宣言としての「Zero」**だと理解するのが妥当です。実際、物語の設定自体も過去作の人間関係や動機から大きく離れた新規のもので、過去作を知らなくても楽しめる作りだとされています。

面白いのは、原点回帰の宣言でありながら細部に過去作への目配せが仕込まれている点です。主人公Soulは、かつての義兄弟Zuoshangとの死闘で致命傷を負い、謎の治療師「Flesh Sculptor」に汚れた心臓で命をつなぎ止められた結果、余命66日という設定を背負います。これはRainblood: Town of Deathの主人公が背負っていた「余命64日」という設定への明確なコールバックです。ちなみにS-GAMEは2025年12月のThe Game Awardsで発売日を「2026年9月9日」と発表した際、この66日という設定にちなんだ縁起(99=天命を覆す数字)を理由に挙げていました(結局は品質向上のため2026年10月29日へ再延期されています)。Rainbloodシリーズの登場キャラクターLeng Tuがトレーラーに姿を見せていることも、系譜のつながりを裏付けています。

Phantom Blade Zeroの戦闘シーン|Steam公式スクリーンショット 画像: Steam ストアページ © S-GAME

何が引き継がれ、何が変わったか

18年の系譜を通して変わらなかったものと、明確に変わったものを整理すると、Phantom Blade Zeroがどの地点に立っているかが分かりやすくなります。

要素Rainblood〜Executioners期Phantom Blade Zero
表現形式ターン制RPG→2D横スクロールアクションフル3DのAAAアクションRPG
市場中国国内モバイルが中心(Executionersで一部海外展開)PS5・PCでの世界同時発売
開発規模Liang個人〜数十人北京・上海・香港・ロサンゼルスの140人超体制
変わらないもの「余命が尽きるまでの物語」という宿命のモチーフ、武侠の世界観同左(余命66日、Leng Tu等の系譜継承)

Liang自身、2025年12月のRPG Siteとのインタビューで「Phantom Blade Zeroは私たちにとって初めての大型コンソール作品であり、初めてグローバル市場に本格的に打って出る作品だ。これまではずっと中国国内向けのモバイルゲームしか作ってこなかった」と語っています。SEKIROや仁王のような「ソウルライク」と、Devil May CryやNinja Gaidenのような「ハック&スラッシュ」を掛け合わせようとしている、という発言も残していますが、それはこの記事の主題である「系譜」の話とは別の設計思想の話です(コンバット面の比較はSEKIRO・仁王・黒神話悟空との比較考察で扱っています)。

まとめ

Phantom Blade Zeroを単体のAAAタイトルとして眺めると見落とすものがあります。2008年、大学生だったLiangが一人で作った同人RPGの「余命64日」という宿命が、2026年発売予定の大作で「余命66日」として蘇っている——この一点だけでも、S-GAMEが18年かけて何を運び続けてきたかが見えてきます。ターン制RPGから横スクロールアクション、モバイルのガチャゲー的成功、そして初のグローバルAAAへ。形式は何度も変わりましたが、「Zero」というタイトルが指しているのは番号上の位置ではなく、その旅の原点そのものです。

情報ソース

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